尼崎市,小児科,JR尼崎駅前,内科,アレルギー科,吉村クリニック,小児科専門医

よくある質問

食物アレルギーについて

Q1:乳児を育てていますが、アレルギーを起こしやすい食物は何ですか?

A1:10年ほど前に兵庫県の公立病院で調査を行いました。
生後すぐ、生後3ヶ月、生後6ヶ月、生後9ヶ月、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、6歳と診察し、そのたびごとに血液検査を実施しました。その結果、乳児の食物によるアトピー性皮膚炎の約80−90%は卵が原因です。特に卵白でした。残りの10−20%がミルクアレルギーでした。

Q2:卵アレルギーと言われました。何歳くらいから与えれば良いのでしょうか?

A2:重要なのは、何歳から与えるかではなくて、皮膚の症状が落ち着いているかどうかです。皮膚の状態が落ち着いて1-2ヶ月すれば、卵の投与を開始できます。しかし、いきなり卵製品を投与してもまた皮膚の状態は悪化して戻ります。与え方に工夫が必要です。もうひとつ大事なことは、血液検査をしてその値をもとに食事チャレンジを決められる先生もいらっしゃいますがそんなことを書いてある教科書、論文はありませんので、そのような指導を受けないでください。私の外来にこられている患者さんは、血液検査でこれ以上ないというくらい卵白アレルギー(+++)の検査結果ですが、目玉焼き、卵焼き、ゆで卵を食べています。

Q3:どうやって卵を与えていけばいいのでしょうか?

A3:つい先日アメリカで卵アレルギーの治し方が論文になっていました。私が指導しているやり方とほぼ同じです。きわめて少量から徐々に増やすやり方です。理論的にはスギ花粉症の脱感差療法と同じです。具体的なやり方は、受診してください。直接丁寧にお話しします。入院させて点滴して、ある程度の量をチャレンジするようなやり方ではいつまでたっても食べられるようにはなりません。余談ですが、ペニシリンショックなどの薬剤アレルギーを治すのも同じ方法です。NEJMという超一流の雑誌に載っております。

Q4:食物アレルギーとうまくつき合うには?

A4:食物アレルギーと診断されたら、できる限り早くその食品を除去してください。普通は生後2−3ヶ月で見つかることが多いです。はじめは、1品目だけのはずです。その時に、厳格に除去すればすぐに皮膚は奇麗になります。皮膚が落ち着いてからおよそ1−2ヶ月でチャレンジ開始できます。徐々に食べられるようにすれば問題なく乗り切れます。
 もうすでに、小学生、中学生になっておられる方でも少量からチャレンジすれば食べられるようになります。そのやり方も、詳しくお話ししないといけませんので受診してください。一つ間違えばショックを起こしますから。 

Q5:親のアレルギーはどの程度子供に遺伝するのでしょうか?

A5:20年ほど前はアレルギーの患者さんは、今ほど多くはありませんでした。10年ほど前に兵庫県下の小学生、中学生にアンケート方式でアレルギーの有無をチェックしますとその時点ですでに50%を超えていました。現在はさらに増えていると思います。なぜこれほどに多くなるのかと考えていましたら、先日面白い症例に出会いました。イラン人の方が日本の女性と結婚されて日本に住むようになり、一年後に鼻炎になったので来られました。調べますとスギ花粉症です。彼のイランに住んでいるご家族、ご親戚の方にアレルギーの方は一人もいないそうです。結局遺伝も影響しますが、それ以上に今の日本の生活環境が一番問題のようです。上下水道完備、空調完備、農薬まみれの食物、食品添加物だらけの食物などなど、いろいろな要素が絡みあっていると思います。

Q6:母乳を介して赤ちゃんにアレルギーを起こすという話を聞きましたが?

A6:生後2−3ヶ月の赤ちゃんが卵アレルギーになることは珍しくありません。一度も卵製品を食べたことがないのに赤ちゃんが卵アレルギーになるのは、母親が卵を食べてそれが母乳中に出てくるためです。ですから母親が卵を食べるのをやめるとみるみるアトピー性皮膚炎は改善します。ただ、母乳がダメというのではありませんから気を付けてください。母親が卵さえ食べなければ問題ないのです。余談ですが、母乳中にダイオキシンが濃縮されて出ています。そのほかに、母乳中にPCBやDDT、クロルデン、ディルドリンなどの農薬も分泌されます(日医雑誌 第132号;第5号;664頁;2004年9月1日)。母乳は母親由来の抗体など大事な物質も入っていますが、現在の生活環境では毒も含まれます。生後6ヶ月くらいまでには止めた方が賢明です。