尼崎市,小児科,JR尼崎駅前,内科,アレルギー科,吉村クリニック,小児科専門医

はじめに、少し注意を書いておきます。今までの離乳食の進め方とは根本的に異なります。

食物アレルギーで血みどろになった子供たちを治療する過程で見つけた方法です。

すべての赤ちゃんに適応していただいてOKです。

 

・離乳食の開始は、どんな赤ちゃんでも生後6ヶ月以降が望ましいです。

・卵製品、乳製品は離乳食の最後の時期(1歳寸前)にしてください。

・母乳を与える場合、妊娠中の母親の食事はそれほど気にしなくても問題ありません。

・分娩後母乳を与える場合は、母親の食事から、卵製品、乳製品を除去してください。

・母乳は1歳になれば止めましょう。1歳過ぎてから積極的に母乳を飲ませる意味は無いと思います。
最近、母乳がダイオキシン、PCBに汚染されていることが判明していますので、医学的に言いますと、母乳は生後6カ月くらいまででやめた方が賢明だと思います。

日医雑誌 第132巻、第5号 664頁 9月1日2004年によると、

母乳で育てられている乳児は、成人が毎日摂取して健康に影響が表れないと考えられる耐容一日摂取量 (tolerable daily intake;TDI)の25倍に近いダイオキシン量を接種していることが明らかになってきています。

現時点ではまだ乳児に直接的な影響は報告されていませんが、 次世代に影響が及ぶ可能性が否定できません。

ダイオキシンは主に脂肪に蓄積し、母親の体で一番多く蓄積したダイオキシンを含む母乳を乳児が飲んでいることになります。

ダイオキシン以外にも同様に母乳中に分泌される環境汚染物質としてPCB(ポリ塩化ビフェニール)、DDT、クロルデン、ディルドリンなどの農薬なども母乳中に濃縮されて母乳に分泌されると考えられます。

さらに、関西一帯にすんでおられる母親の母乳中のダイオキシンの量は、世界でも高濃度なようです。(http://www.health.ne.jp/library/3000/w3000220.html)

それでも、1歳過ぎてまで、母乳をあげますか?



閑話休題

・すべての離乳食は、材料から作ってください。決して市販のダシや化学調味料を使わないでください。

スタート(生後6ヶ月以降)

1)野菜スープ(ハクサイ、キャベツ、レタス)

一品ずつみじん切にして、多量の熱湯に通します。決して野菜をすりおろしたりしないでください。

ちなみに一般的に料理するうえで、すりおろしてよいのは、大根おろし、しょうが、わさび、チーズと山芋くらいです。 ニンニクも擦ってはだめです。エグミが出ます。みじん切りにしてください。

どうしても、すりおろしたい方は、毎日自分の食事も野菜をすりおろして食べてみてください。最悪ですよ!


赤ちゃん専用の小さなおなべを用意し、熱湯を通した野菜を入れて弱火で煮込みます。

味付けは、昆布と少量の塩で。

初めて食べるものは基本的に少量トライです。

24時間で判定します。OKなら徐々に量を増やします。

必ず一種類ずつチェックしながら進めて下さい。

2)おもゆ、おかゆ(6−7ヶ月頃)

少量のおもゆからスタート。徐々に米粒を増やしていきます。

3)野菜の種類を増やす(大根、人参、ジャガイモ、サツマイモ、かぼちゃなど)

あくのない一般的な野菜を選んで種類を増やします。

メインは根菜です。やはり一品ずつみじん切りにして熱湯を通してください。

そのあと、昆布のダシで煮込んで野菜スープとしてください。

ただ、かぼちゃは味が濃いので頻回に使わないこと。

繰り返し書きますが、必ずみじん切りにして熱湯を通してから煮込んでください。

4)白身魚(タイ、ひらめ、カレイなど)(7−8ヶ月頃)

一匹丸ごと買うと高いので、お刺身を利用します。

親が食べた残りの刺身の一切れを熱湯に通して、あくをとります。

そのあと、野菜スープに入れて、弱火でじっくりと煮込みます。

タイの身入りの野菜スープです。おいしいはずですよ。

初回は、魚の身入りスープのスープのみを与えて問題なければ、

徐々に魚の身をほぐしてあげましょう。

余談ですが残ったスープに塩を入れて味を整え、少しカツオを加えてご飯にかけて

親が食べると鯛茶漬けになりおいしいですよ。

5)大豆(醤油、味噌汁、豆腐)(8−9ヶ月頃)

野菜スープに醤油を少しずつ(1滴)加えてあげてみましょう。

大丈夫なら、カツオと昆布でだしを取り味噌を加えて味噌汁を作りましょう。

味噌汁の上澄みをあげて大丈夫なら、味噌汁としてあげます。

それもOKなら、豆腐を入れて豆腐の味噌汁をあげます。

大豆製品は、味噌、醤油、豆腐で十分です。薄あげ、厚あげはやめておきましょう。

納豆も1歳までは、避けておいたほうが安全です。

決してダシ入りの味噌は使わないで下さい。

6)魚の種類を増やす(カツオ、シャケ、マグロ、ブリなど)

やはり刺身になっているものを買ってきて一切れ子供にいただいて料理します。

背の青い魚にチャレンジします。白身魚の時と同じやり方で進めてください。
干物など加工食品は避けてください。

7)肉にチャレンジ(牛肉、豚肉、鶏肉)(9―10ヶ月頃)

お肉は赤身を買ってきて、家でミンチにします。小さなミートボール状にして

熱湯を通します。それから野菜スープに入れてゆっくり煮込みます。

スープと野菜を食べて大丈夫なら、入れるミートボールの大きさを

大きくし、数を増やします。それでも大丈夫ならお肉をつぶしてあげてみてください。

ミンチの機械を通すと複数の種類の混ざったお肉となりますから、

必ず自宅でミンチにしてください。

お肉を試す順番はアレルギーのなさそうなものからでOKですが、合い挽きのお肉は避けて

1種類ずつ確認しながら進めてください。

卵アレルギーがあってもほとんどの方は鶏肉が食べられます。

8)乳製品(粉ミルク、ヨーグルト、バター)(10−11ヶ月)

粉ミルクをあげて大丈夫なら、徐々にヨーグルト(プレーンヨーグルト)、

バターをチャレンジします。

フルーツ入りのヨーグルトやクリーム入りのヨーグルトは避けてください。

またチーズは避けておいたほうが安全でしょう。

ミルクアレルギーの子供の場合は、離乳食の最後に乳製品をチャレンジしてください。

9)卵製品(11ヶ月―12ヶ月頃)

チチボーロやタマゴボーロをチャレンジします。市販のものでOKです。

ここのところがキーポイントです。

卵アレルギーがある子供さんにいきなりチチボーロをあげてはいけません。

ショックを起こします。具体的な進め方は必ず当院の指導どおりに進めてください。

チチボーロを数個食べて大丈夫ならカステラをあげてみます。

この時点でケーキがOKとなります。

それからハンバーグ、コロッケ(どちらも卵入り)にトライします。

必ずお家で作ったハンバーグとコロッケでチャレンジしてくださいね。

そしてタマゴスープをあげてみる。ただしよく火を通すこと。

問題なければ、目玉焼き、卵焼き、ゆで卵がOKとなります。

その後で、プリン、茶碗蒸をトライします。自宅で作ったものでチャレンジしてくださいね。

大丈夫なら、マヨネーズ、カスタードクリームにチャレンジ。これは市販のものでOKです。

生卵は基本的に与えないでください。

10)その他の注意

赤ちゃんに生ものは避けておいたほうがいいでしょう。蜂蜜も禁止です。

アメリカでの食事によるショック死で一番多いのはナッツアレルギーです。

ですからピーナッツやカシオナッツなどのナッツ類もあげないようにしましょう。

また蕎麦も避けてください。日本での食物アレルギーでのショック死が多い食品です。

市販の果汁100%のジュースもあげないでください。

表示品以外に親の予想もしなかったものがいっぱい混入されています。

せっかくですから本物の果物を搾って少し薄めてあげましょう。

あまり乳児期の早い時期から果汁ばかりあげると甘みのあるものしか食べなくなります。

できるだけ薄い味になれさせてあげておいてください。また子どもに不釣合いな高級な

イセエビ、タラバガニ、あわびなどはやめておいてください。

また、アレルギー素因のある子供に投与して、喘息を起こす危険性のある果物は避けて

ください。たとえば、キュウイ、パパイア、マンゴ、メロンなどの果物です。


小麦粉について、

よく問い合わせを受けますが、お米が大丈夫なら一歳過ぎてからで十分です。
やり方は、野菜スープの中に一つまみの小麦粉を入れて煮込みます。大丈夫なら徐々に増やせばいいです。間違っても市販のパンやうどんなどを最初にあげないでください。


乳幼児のアトピー性皮膚炎の原因は、9割が卵白、残り1割が牛乳アレルギーです。この2品を避けるだけで、ほとんどの乳幼児のアトピー性皮膚炎が治ります。原因となる食品を避ければ見事に治ります。

しかし、「いったい何時まで食事制限って必要なのだろう」…これがこの離乳食レシピを考えた一番の理由です。はっきりと記した論文も教科書も無いと思います。外来で色々と試行錯誤し、患者さんと考えたのがこの離乳食のレシピです。

この離乳食のレシピの特徴は、抗原性の高いたんぱく質を初期に避けて、卵白、乳製品を離乳食終了まぎわに持ていって食事制限をしていることです。

ひどい食事アレルギーによるアトピー性皮膚炎もうまく症状をコントロールした後でこのレシピに沿って離乳食を行うと、ほぼ9割の方が症状も無くなり1歳ですべてのものを食べられるようになります。

実質的には、食事制限をしているのですが1歳で終了しますから、離乳食の進め方を変えただけになります。普通の子供でも、食事アレルギーの子供でもこの離乳食の進め方でOKです。不必要な食事制限はいりません。栄養失調にもなりません。魚を食べるところまで行けば、栄養失調とは疎遠になれます。

「1歳で、お誕生ケーキを食べましょう」

が合言葉です。

もう一つおまけがあります。幼児期から野菜の味をメインにしているので野菜嫌いにならないのです。何人ものお母さんからそう言われました。味覚障害にはなりません。日本人の味覚の基本に沿っているはずです。

  最近魚介類、豆類、野菜、をしっかりとって、肉類を控えると成人病予防になるという論文があちこちから出されています。この離乳食はまさにそのものだと思います。ただ、気をつけて欲しいのは、薄味にして塩分摂取過多に気を配ってください。

くれぐれもいいますが、魚、野菜、大豆がキーポイントです。

成人について付け加えるなら、これにオリーブオイルを使って、ワインを飲めば、いわゆる地中海食となり、成人病、生活習慣病になりにくい食事となります。幼少時期から、これらの食材に親しむように配慮してください。焼肉、ハンバーガー、ポテトチップ、ケーキ、から揚げ、アイスクリーム、ラーメン、ブタマンなどは、時折食べるようにして、食べ過ぎないように極力気をつけましょう。間違っても手抜きで、デパ地下の惣菜で済ませることの無いようにしましょう。肥満児を防ぐ食事でもありますから。

 卵アレルギーの子どもでも、1〜2歳でチチボーロが食べられる子は、小学校に行く頃になると生卵を食べられるようになることがほとんどです。また、チチボーロを食べられるようになれば、予防注射はずべてOKとなります。心配なら当院で予防注射をいたします。

卵アレルギーの子どもがこの離乳食のレシピにしたがって火の通った卵を食べられるようになっても卵アレルギーが治ったわけではありませんから気をつけてください。

卵焼き、目玉焼き、を食べている子どもが、生卵に触れて顔がはれ上がったりすることはしょっちゅうです。火の通った卵製品を食べられるからといって卵アレルギーが治ったのでは決してありません。

血液検査で陽性であっても卵が食べられないわけでもありません。間違わないで下さい。食べて症状が出るかどうかが全てです。血液検査は参考にしかなりません。血液検査を見て判断するように指導されているようでしたら要注意です。そのような指導を書いてある論文、教科書は無いはずです。

このレシピで離乳食を過ごしたある子どもの母親が言っておられました。「普通の子ども達が大好きなハンバーガーやオムライスは食べたがらないです。冷蔵庫をあけて喜んで食べるのは、完熟トマト、にんじん、きゅうりです。魚は北海道物産展で手に入れたシシャモを喜んで食べています。」と。私の思わく通りです。ただ、食材の違いがわかるグルメになるのでエンゲル係数は高くなります。

許可なく転記転載を禁ず(吉村文秀)