尼崎市,小児科,JR尼崎駅前,内科,アレルギー科,吉村クリニック,小児科専門医

インフルエンザについて

一般的なことについては、
「日本医師会ホームページのインフルエンザQ&A」
を見ていただければ問題ないと思います。

インフルエンザ治療について

以前よりインフルエンザの治療について、タミフル、リレンザ等の治療薬が本当に意味があるのかどうか医学的には議論ありました。

2014年のBMJの論文で、エビデンスなしという結果が出ています。

むしろインフルエンザに対する免疫を作る上においても阻害している可能性すら指摘されています。 インフルエンザの治療は、患者さんの選択に任せることといたしました。

理論的にはタミフル、リレンザは使用しない方が賢明なように思います。
きちんとした日本における、パイロットスタディーが実施されることを切に望みます。


BMJ and Cochrane (2014年4月10日), “Tamiflu & Relenza: how effective are they?”
(プレスリリース), Cochrane Collaboration 2014年4月10日閲覧。

邦訳:BMJ誌(英国医師会雑誌)プレスリリース

2014年に発表のあったBMJ誌の論文(http://www.npojip.org/sokuho/no168-3.pdf)より、通常のインフルエンザに対して抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ等)治療の 医学的メリットが否定されました。

それ以降の論文をチェックしても医学的権威のある論文において、抗インフルエンザ薬で治療することを推奨するきちんとしたデータはありません。

小児科学会も、通常の抗インフルエンザ薬の治療を推奨しておりません。

免疫的に弱い方(2歳未満、65歳以上、妊婦さん等)や、慢性かつ重篤な患者さん以外は治療対象となりませんので検査も基本的にはご希望がない限り致しません。

また、PCR検査に比べて通常の簡易検査の判定できる確率は、ほぼ2人に1人偽陰性で信憑性が低いです。

厚生労働省は、治療を医師の指示に従うようにとHPに書いてあります。
日本は、明確な治療指針がない状態です。


ヨーロッパは、抗インフルエンザ薬使用に対しかなり否定的です。
一部の被験者で感染と戦うための自己の抗体の十分な産生を妨害すると指摘しています。


アメリカは、CDC(疾病コントロールセンタ)が治療方針明記しています。

一番医学的に納得できる内容ですので、アメリカのCDCの基準で治療するのが妥当かと思われます。
https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr6001a1.htm


インフルエンザに対し唯一死亡率を下げることが医学的に証明されているのはワクチンだけです。


塩野義製薬から新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」が出ました。

ただウイルスの耐性も獲得しやすいようです。

すでに、国立感染症研究所で、ゾフルーザに対する耐性のウイルスが検出されました。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/593-idsc/iasr-news/8545-468p01.html
通常のインフルエンザ感染に対して安易に使わない方が賢明です。

NEJMでの検証では、「ゾフルーザ」の効能効果は、タミフルとほぼ同じです。
飲めば飲むほどインフルエンザに対して抵抗力は下がるようです。


さらにインフルエンザは、空気感染する(?)ようです。

「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」1月18日オンライン版に掲載されました。
Yan J, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Jan 30;115.

いくら手洗い、うがい、マスクをしてもインフルエンザに罹った方と同じ部屋に長時間一緒にいれば感染を防ぐのは、ほぼ不可能だと思われます。


インフルエンザの治療対象者は、

2歳未満の子供さん、
65歳以上の高齢の方、
妊婦さん、
慢性の病気をお持ちの方

のみが治療対象者です。