水イボについて
夏場になると、プールや水遊びが始まります。
その際に問題になるのが、この「水イボ」です。
原因
正式には、「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と言い、
ウイルスによる感染症です。
ポックスウイルス群のmolluscum contagiosum virusが皮膚に接触して小さなイボを作り増殖したものです。
3つの型がありますが、症状では区別できません。ほとんどが1型ウイルスによるものです。
以前は、押さえつけてピンセットでつまんで消毒して治していましたが、
現在はそのような治療はほとんどされていません。
先日来院された患者さんは、1個水イボがあったので皮膚科に行きピンセットで取ってもらったら逆に増えてしまったと訴えておられました。
一番お勧めの治療法は当院で行っているように液体窒素で数秒間凍らせると
それほど痛がらずに治療できます。
基本的に1−2年すれば抗体(実際には細胞性免疫)ができて自然治癒します。
伝染性軟属腫ウイルスに対する特異抗体が検出されることが多いですが、
明らかな免疫的な意義はないようです。
プールに入って問題はありません。
学校保健法が平成11年4月1日に改正され、原則としてプールを禁止する必要がないと
認められました。大阪市の医師会でも、正式にプールを禁止しなくてよい旨の発表がありました。
プールに入ったことにより病気がうつったという正式な疫学的証拠はまだありません。
ただ、皮膚の接触でうつるのは確かですから、むしろプールでの着替えをする場所やビート板、
タオルなどを介しての感染に気をつけたほうがいいと思います。
治療法
治療ですが、液体窒素による治療がおすすめです。
スピール膏、クロロ酢酸、ヨクイニンなどありますが、放置が基本です。
かきむしった場合に、広がらないように消毒をしてください。お勧めはイソジン消毒液です。
ただ、ヨードアレルギーの方はイソジンは避けてください。
とりあえずは、放置が一番良いと思います。
余談ですが、成人で水イボが出てきた場合、何らかの免疫不全状態(例えば、
移植治療で免疫抑制剤を使用している場合とかエイズなど)です。
アメリカでは、治療にトレチノインを使うようです。この軟膏はしみとりにも使われますが・・・